◎近況 女装家のイベントに行ってみた

◎近況 女装家のイベントに行ってみた

2014年07月08日発行

「現実のモノやコトは、一般にそうと思われている輪郭とはかなり違うことが多い」カルチャー領域、都市、海外などを日々、周遊している湯山玲子がお伝えする、今週のアンテナ、引っかかり報告。

>近況 女装家のイベントに行ってみた

●「自分の美」を発見する

2014年前半期の興味深い体験のひとつが、女装家たちのイベント、パーティーでした。 中山美穂と辻仁成の離婚の原因と1つも言われる女装ですが、今やこれが「後ろ暗い」ものではなく、市民権を得つつあるというのです。

伺ったのは最近面白いパーティーをやっている、歌舞伎町風林会館5Fニュージャパンで、舞月最終土曜日に行われている女装イベント「プロパガンダ」で、なんと動員は400人あまりにもなるらしい。

「世間から外れた変態さん」という認識で女装をする男の人は70年代からいたものの、ここ数年は様々なイベントが行われるなど、ブレイク中でして、芸能人でもキングオブコントの優勝者「カモメンタル」の槙尾ユウスケは、女装が趣味と公言しており、東京だけでなく大阪でもイベントは盛り上がりをみせています。

もちろん、私がよーく知っているクラブカルチャーの世界では、女装はドラアグクィーンという存在で良く見知ってはいます。彼らはゲイカルチャーの流れのなかにもあって、すでにひとつの文化的スタイルがあるのですが、今回の「女装」はそことは、また、違う世界なのです。

女装というと、考えられる文脈は、「女の子になって、男に愛されたい」というテレビタレントのオネエたちを想像します。しかし、イベントに集う女装家たちは、「男が純粋にコスプレ感覚で女装を楽しむ」というもので、参加する彼らの多くはヘテロ(ゲイの人も混じっていますが、このオープンさがこのバーティーの特徴なんだそう)で、普段の恋愛対象はあくまで女性。

誘ってくれたのは、ライターの九龍ジョーさん。拙書『女装する女』から何かを感じ取ってくれたのでしょうか?! この予定を日芸の学生達に話したら、果敢にも「ボクそれ体験したいです」という学生S君がいたので、これは身近にサンプリングができるぞ、と思い、知り合いのゲイバーを楽屋裏にして、彼ともうひとり、耽美系に興味がある卒業生のT君に声をかけて、ふたりを女装させ、バーティーに同行させることになったのです。

連れていった教え子の2人は、そろいもそろって、非常にフェミニンな紅顔の美少年。しかし、2人の反応は対称的で、卒業生のTはそういう仲間がいるのか全然動じていない。一方、Sは最初はノリノリだったものの次第に引き気味になっていきます。

女であれば化粧をすることによって「自分の美」を発見するという体験がありますが、男が化粧をすることによって「自分の美」を発見するということに関して、彼の中に眠っていた「男の沽券」が発動したのでしょう。

そう、女装は自分が「性的に人に見られる」ということを引き受ける所行なのです。私が著作の『女装する女』で述べたのもそこのところで、女は今や「自然」ではなく、そういう意思を持って時と場合に「女装」するのです。

Sは私の黒いスリップとシュミーズを着せて、頭に羽の飾りをつけ、メイクは唇が厚いので真っ赤に塗り踊り子さん風に仕立てあげました。もうひとりのTは、は澁澤龍彦のようなセミロングの髪型だったので前髪の付け毛をさせ、ミニスカを履かせてみました。

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