(321)鹿島はバルサになれるか。石井監督の思惑と、試合展開の妙

(321)鹿島はバルサになれるか。石井監督の思惑と、試合展開の妙

2017年02月28日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(321)鹿島はバルサになれるか。石井監督の思惑と、試合展開の妙

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 J1の開幕戦で、鹿島アントラーズがFC東京に0−1で敗れた。鹿島と言え
ば、いま日本で最も強いチームだ。11月末から強敵と12戦して、敗れたのはレ
アル・マドリーと、チャンピオンシップ初戦の浦和戦のみ。その鹿島が、FC東
京にしかもホームで敗れたのは、少々意外だった。

 もっとも鹿島は、横綱のように圧倒的な力を示してきたわけではない。チャン
ピオンシップ、天皇杯、ゼロックススーパー杯は、ほぼすべて接戦。クラブW杯
もミラクルな勝ち上がり方だった。勝負強さを一番の武器にしながら。

 具体的に言えば、後半に強かった。時間の経過とともに、サッカーはどんどん
よくなっていった。最高潮に達するのは終盤。そこでバタバタになるJリーグの
他チームとは、それこそが一番の違いだった。

 FC東京戦も、後半の戦いは失点こそ許したが、悪くなかった。相手が引いて
しまったこともある。1点を奪った後、特にその傾向が目立った。追って届かず。
敗れ方としてはそれほど悪くないが、それだけに気になるのが前半部分の戦い方
だ。

 後半の戦い方が頭からできればと思うが、スロースターターと言いたくなるこ
の慎重な入りは、石井監督の意図する戦い方なのだという。先日、スポルティー
バ誌のインタビューで、監督本人から直接うかがった話だ。

 その哲学は、「まず守りから」だという。立ち上がりに不用心な失点をしない。
耐えながら試合に入り、様子をうかがいながら前に出て行く後半勝負型を明確に
打ち出していた。

 一方で、目指すサッカー、好きなサッカーはバルセロナだという。具体的には
「高い位置でボールを奪うサッカー」だ。

 バルサといえば華麗なパスワークを連想するが、その高いボール支配率を支え
ているのは、高い位置でのボール奪取だ。相手の攻撃の芽を早い段階で積めば、
マイボールの時間は自ずと長くなる。ライカールトが監督を務めている頃、助監
督(実質監督)を務めていたヘンク・テンカーテから、ボール奪取へのこだわり
を、さんざんレクチャーされたことがあるので、石井監督の話には、頷くことし
きりだった。

 シメオネ監督率いるアトレティコ・マドリーあたりを想像していたこちらとし
ては、バルサの名前を聞いたとき、そこまで攻撃的なサッカーが好きな監督だっ
たのかと少々、面食らった。だが、それと前半の立ち上がりは失点を許すまいと
守備から慎重に入る姿勢と折り合いをつけることは簡単ではない。試合中にギア
をどう変えるか。守備的サッカーから入り、途中で攻撃的サッカーに転換できる
のか。上手く変えることができるのか。気がかりな点はそこだった。

 そこでFC東京戦だ。前半を抑えて入っていることは、後半の戦い...

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