(323)ベテラン天国ニッポンの憂鬱

(323)ベテラン天国ニッポンの憂鬱

2017年03月16日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(323)ベテラン天国ニッポンの憂鬱

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 時代が動いていない。スポーツニュースの映像から流れるカズダンスを見てそ
う思った。微笑ましい光景ながら、高齢化著しい日本サッカー界の現実を見たよ
うな、複雑な気分に誘われた。

 開幕戦当日と50歳の誕生日とが重なるカズに、当初からスポットは向けられて
いた。実際、テレビに映し出されるその姿は輝いて見えた。盛りをとうに過ぎた
超ベテランながら、日本においてはスターだ。月ではなく太陽としてこの世界に
君臨する。100%歓迎するわけにはいかない。

 横浜Fマリノスからジュビロ磐田に移籍した中村俊輔も注目の的だった。

 長年、暮らしたクラブを去り、新天地に居場所を求めようとするベテランの姿
は、確かに興味深く見える。しかし38歳だ。ドラマ性は認めるが、メインストリ
ームに存在する選手ではない。

 川崎からFC東京に移籍を果たした大久保嘉人も、大物の移籍として話題を集
めた。13年、14年、15年と3年連続で得点王に輝いているが、昨季は15ゴール
でランクは4位タイ。日本代表復帰の目はもはやないに等しい34歳ーーと、言い
放ちたくないのだが、これも日本の病状を物語る一件になる。

 昨季のJリーグの年間最優秀選手もベテラン選手の頭上に輝いた。中村憲剛だ。
年間を通してその活躍が一番目立った選手が36歳となれば、これまた一言いいた
くなる。大丈夫かこの国は、と。

 ベテラン話は続く。昨年末に行われたクラブW杯で、存在感を示したのは小笠
原満男(37)。その決勝戦、レアル・マドリーに先制点を奪われ、大敗もあり得
そうなムードになった時、勘よくミドルシュートを放ち、流れをたぐり寄せたシ
ーンが印象的に残る。ベテラン健在。その試合で挙げた柴崎岳(24)の2ゴール
も見事だったが、その影には小笠原あり、だった。

 柴崎はその活躍で、時の寵児になった。近々、日本代表の中心選手になりそう
な大きな期待を集める存在になった。その後、スペインリーグ1部、ラスパルマ
スへ移籍かと言われ、スペインに行ってみれば、移籍先に決まったのは2部のテ
ネリフェ。そしてそれ以上に落胆させられたのが、体調不良が原因で、その練習
にさえ参加できない状態に陥ったことだ。

 UAE戦とタイ戦(アジア最終予選)の日本代表のメンバーは、間もなく(16
日)発表されるが、柴崎の名前はおそらくそこにないはずだ。期待の24歳(若手
とはいえないが)だが、自らフェードアウトしていった格好だ。

 ミランで出番がなく、選手生命の危機を迎えている本田圭佑。この選手もすで
に30歳を越えている。だが、メディアは相変わらず彼を追いかける。今度の日本
代表に選ばれても事件、選ばれなくても事件。そうした意味で、無視できない存
在になっている。

 追いかけるべき人材が他にいな...

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