(328)美しさとは真逆の、浦和ペトロビッチ監督のサッカー

(328)美しさとは真逆の、浦和ペトロビッチ監督のサッカー

2017年04月24日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(328)美しさとは真逆の、浦和ペトロビッチ監督のサッカー

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 先々週末、FC東京を1−0で下し、首位に立った浦和レッズ。試合後、ペトロビッチ監督は会見で、記者に向かってこう苦言を呈した。

「日本のマスコミは、結果だけを見て記事を書きたがる」と。

 いいサッカーをしながら敗れたいつかの鳥栖戦を引き合いに出しながら、もっとサッカーの中身を見て報道しないと、サッカーは進歩しないと訴えかけた。

 仰せの通りなのだけれど、ペトロビッチ監督から諭されても素直に受け入れたくならない。彼こそ、結果重視のサッカーをする典型的な監督。こちらにはそう映る。したがって、その台詞に説得力を感じないのだ。

 この日も1点リードすると後半、守った。文字通り5バックで最終ラインを固めた。「我々の目指す美しいサッカーではなかった」と、ペトロビッチは会見の席で、反省を口にした。美しいサッカーでなかったことを認めたわけだが、違和感を覚えるのは、「我々の目指す美しいサッカー」という一節だ。

 残念ながら、ペトロビッチ就任以降の浦和レッズに、美しさを覚えたことは一度もない。なにより監督が美しいサッカーを目指しているようには見えない。勝利のために、今日は美しさを封印した。試合には勝ったが、目指しているサッカーはできなかった。話をそうした方向でまとめようとするペトロビッチに、はいそうですかと、素直に従う気にはとてもなれないのだ。むしろ、ますます怪しく感じてしまう。

 美しいサッカーを目指す監督は、5バックになりやすい布陣では戦わないのだ。当たり前の話だが、後ろに人数を多く割けば、ボールを奪う位置は低くなる。この瞬間、美しいサッカーは実戦しにくくなる。前に人数が少なければ、攻撃は多彩にならない。深い攻撃を仕掛けにくくなる。浦和レッズの姿はこれだ。

 3−4−2−1の2が、わりあい開き気味で構えていた試合の前半は、5バックになる機会が少なかった。彼らが、FC東京の両サイドバックと対峙したため、両サイドで数的不利を招くことはなかった。つまり、浦和のウイングハーフは、ウイングバックにならずに済んでいた。

 マイボールに転じれば、守備的MFの阿部勇樹が最終ラインに下がり、その分、両ウイングバックが押し出されるように高い位置を取ることができていた。ボールを両サイドの深い位置まで運びやすい環境にあった。

 だが1−0でリードし、後半に入ると一転。一目で5バックとわかるサッカーを展開。好んでというか、意図的にそうしていることが見て取れてしまった。

 その姿勢と美しいサッカーとは、どう考えても一致しない。

 だが、その点を鋭く指摘する人は少ない。ペトロビッチも、現実と真反対のことを口にするので、そういうものかと思っ...

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