(330)“川崎らしさ”は一刻も早く捨てるべし。バルセロナと大きく違う効率性

(330)“川崎らしさ”は一刻も早く捨てるべし。バルセロナと大きく違う効率性

2017年05月10日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(330)“川崎らしさ”は一刻も早く捨てるべし。バルセロナと大きく違う効率性

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 今季を最後に現役生活にピリオドを打つシャビ・アロンソ。レアル・マドリーから、バイエルンに移籍してきたのは3シーズン前の14−15で、それはグアルディオラ監督の就任2シーズン目にあたる。両者はつまり2シーズン、選手と監督の関係にあった。

 年の差は10歳。シャビ・アロンソはレアル・ソシエダ時代、大学にも通う学士プロとして知られていた。だからというわけではないが、プレイも見るからに賢そうだった。非力ながらパスセンスに溢れ、下がり目の位置から、長短のパスでチームをよい流れに導く、まさにグアルディオラ2世。全体の動きに気を配るオーケストラの指揮者のようにチームを操った。

 欧州で味わったカルチャーショックは数あれど、選手では、グアルディオラがいちばんと言いたくなるぐらい、その広角な展開力は日本にはないものとして、新鮮に映った。カンプノウの記者席は、ピッチを俯瞰するにはもってこいの特等席。ピッチ上の選手より見えているよい環境で、試合と向き合うことができる。相手の陣にどう攻め入れば有効か、浮き彫りになるのだが、そうした中で、こちらの想像を超えるルートをピッチ上に見いだすのがグアルディオラだった。

 その手があったかと唸らせることたびたび。見る目を養う環境として、そこはまたとない場所だった。瞬間、どこに進むべきか。グアルディオラはその方向性に優れていた。簡単にサイドを変えられる選手だった。

 バルサでは、シャビ・アロンソではないもう1人のシャビ・エルナンデスが、4番のポジションの後継者と目されていた。だが、彼が生かされることになった場所は、その一列上。インサイドハーフだった。

 グアルディオラよりパスは短めながら、小回りが利いた。ボールを軸にくるくる身体を回転させながら、進むべき道を、瞬時に探った。グアルディオラのポジションより難易度の高い位置で、だ。シャビ・エルナンデスの身長は160センチ台。巨大迷路に迷い込んだ少年さながらだが、彼はそこを勘よく奇麗に抜けだしてくる。

 美しいサッカーの解釈は人それぞれだが、個人的には方向性だと思っている。いまどちらに進めば美しいか。ピッチ上に描かれるボールの軌跡は鮮やかになるか。それが鮮やかであるほど効果的。美しいサッカーと勝つサッカーは別物とはよく言われるが、グアルディオラ、シャビ・アロンソ、シャビ・エルナンデス等のプレイを俯瞰で見た者としては、ありがちなそうした声に、思わず反論したくなる。

 そんな時、扱いに困るのが、川崎フロンターレだ。勝てば官軍的ではない、プロセスにこだわりを持つはずのサッカーなのに美しくない。繋ぐサッカーを目指して...

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