(338)ドイツと鹿島にあって、日本代表にはない“余力”

(338)ドイツと鹿島にあって、日本代表にはない“余力”

2017年07月06日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(338)ドイツと鹿島にあって、日本代表にはない“余力”

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 ドイツとチリが決勝を争ったコンフェデレーションズ杯は、ドイツの優勝で幕を閉じた。平均年齢24歳。今回のメンバーで、前年のユーロ2016を戦った選手は8人しかいない。優勝はまさかの結果だったと思われる。今回は選手層を厚くすることが一番の目的で、大真面目に優勝を目指していたわけではないはずだ。本番はあくまでも1年後。そこで優勝するために、いま何をするべきか。ゴールから逆算して強化を図るその計画性に、堅実なドイツ人気質を見る気がする。今回のドイツから学ぶべき一番のポイントになる。

 このように物事をある計画に基づいて忠実に推し進める気質、能力は、日本人も負けないものがある。ドイツと日本は実際、似ている箇所が多い、近しい人種と考えられる。サッカー界にも該当すべきものだと言いたくなるが、なかなか見えてこないのが現実だ。むしろ計画性の乏しさが目立つ。日本代表に、今回のドイツ代表のような真似はまず望めない。

 代表チームはベストメンバーで戦うものーーという概念が、日本国内には必要以上に蔓延している。メンバーを落として戦うことを許さないムードだ。メンバーを落とせば、世間の関心は、選手の知名度に比例するので、その分だけ低下する。テレビの視聴率やスポーツ系新聞の売り上げ、ネットメディアのページビュー等々は伸び悩む。日本代表産業にかかわる人が、それを後押しすれば、商売にブレーキを踏むことになる。 

 その昔、シドニー五輪予選フィリピン戦で小野伸二が相手の悪質なタックルを浴び、大怪我を負うという事件があった。彼はそもそも、パラグアイで行われるコパ・アメリカに参加する日本代表のメンバーで、それが出発直前、急遽、協会の司令でU23チームに呼び戻され、フィリピン戦出場することになった。国立競技場のスタンドは、小野が出場するとあって39000人を集める大盛況。悲劇はそうした中で起きた。あれがなければ、小野はもっと偉大な選手になっていたと言いたくなる、まさに取り返しのつかない大怪我に見舞われたのだ。

 メディアはフィリピン選手の無謀なタックルを非難したが、矛先を向けるべきは協会であり、それに異を唱えなかったメディア自身になる。フィリピン選手も愚かだが、結果的に11−0で終わった試合に、小野を客寄せパンダのような役回りで出場させた日本もまた愚か。

 非ドイツ的な話とはこのことだ。一戦必勝の精神をもってベストメンバーで臨む。観戦意欲を促す日本人ウケする姿勢だが、サッカーとの相性はよくない。目の前の試合に勝利することも大切と言えば大切だが、来たるべき時に備え、使える選手の数を増やすことも追求すべきテーマになる。

 サッカーに必要なのは、トーナメントの発想ではなくリーグ戦の発想だ。W杯の決勝トーナメントは敗れれば、その瞬間、即アウト。しかし、そこで全力を注ぎ込んでしまえば、次の試合は戦えない。試合数を多く戦おうとするチームほど、多くの選手を使いながら勝ち進んでいく必要がある。

 例えばW杯本大会で、我々は何試合戦うつもりでいるのか。5試合(ベスト8)なのか、7試合(同ベスト4)なのか。それとも出るだけ(3試合)でいいのか。そこのところをハッキリさせておく必要がある。...

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