デバイスもコンテンツも「アンビエントインテリジェンス」になる未来  佐々木俊尚の未来地図レポート vol456

デバイスもコンテンツも「アンビエントインテリジェンス」になる未来 佐々木俊尚の未来地図レポート vol456

2017年07月10日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
佐々木俊尚の未来地図レポート     2017.7.10 Vol.456
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.pressa.jp/


【今週のコンテンツ】

特集
デバイスもコンテンツも「アンビエントインテリジェンス」になる未来
〜〜ロボットはヒューマノイドである必然性はない

未来地図キュレーション

佐々木俊尚からひとこと

EPUBファイル,Kindleファイルのダウンロード先は
メルマガ最後に掲載中
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■特集

デバイスもコンテンツも「アンビエントインテリジェンス」になる未来
〜〜ロボットはヒューマノイドである必然性はない

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ロボットの定義とは何か?という話があります。日本ではヒューマノイド(人間型)が人気ですが、そもそもロボットが人間の形をしている「必要」はあまりありません。

◆The robot of the future will look like a software-driven thermostat

http://bit.ly/2tYahnI


 だいぶ以前の2013年の記事ですが、「未来のロボットは、ソフトウェアで動くサーモスタットみたいになるのでは」という指摘。どういうことかというと、ロボットの定義は「私たちの眼や耳や手になる」という身体の拡張を具現化するデバイスになるのではないかという意味です。



 たとえばドローンは、農業に使えば農家さんの眼になり、農地を上から見下ろせるようになります。今までだったら農地は地図で見るか、高い金額を払って航空写真を撮影するぐらいしかなかったのが、ドローンによって農家さんは視覚という身体機能を拡張し、鳥の視覚を手に入れることになったのです。



 ソフトウェアで動くサーモスタットというのは、グーグルが以前買収して話題になった「ネスト」ですね。ユーザーの生活パターンを認知し、目覚める時間になるとエアコンを適正な温度に調整し、就寝時には電源を切るといったことを自動的に処理してくれます。これは「エアコンを操作する」という人間の行為を代替し、その操作を人間よりも高度化して拡張しているロボットと言えるわけです。

 しかしこれをロボットと定義してしまうと、じゃあ普通の電子機器とは何が違うんでしょうか?

 これについて先ほどの記事は、こう定義しています。「デバイスが膨大なソフトウェアと自動学習によって無人で運転され、その都度外部からコントロールする必要がなく動く」



 つまりは自律性が大事なのですね。自律的に動作するものであれば、それはすなわちロボットであるということ。スマホは勝手には動かず、つねにユーザーの操作を必要とします。ユーザーが何かの指示を与えるとそれに反応しますが、その反応が終了すると動作は終わる。これは概念的にはロボットではないというわけです。まあ将来的には、自律的なスマホというものが現れてくる可能性もありますが。


 これはまさにIoTの概念にもつながってきます。IoTでは、デバイス同士が相互に情報をやりとりし、人間のユーザーがその都度指示を出さなくても、自律的にユーザーに最適な環境を作ってくれるようになります。単にデバイス同士がネットでつながるだけではなく、こういう自律性が、IoTでは重要です。



 つまり重要なのは、ヒューマノイド型のような二足歩行技術などではなく、外界の状態をきちんと処理して自動的に動くソフトウェアとハードウェアの一体化されたシステムということになるわけです。ロボットは昔の人たちがワクワクとイメージしてきたようなヒューマノイド型の金属のボディではなく、もっと日常的で存在をいちいち認知しない空気のようなものになっていくということなのです。



 こういうシステムを、アンビエント・インテリジェンスと呼んだりする事もあります。アンビエントというのは「環境」とか「背景」と訳されたりしますが、私たちを取り巻いて、あたり一面に漂っているような状態のことを言います。アンビエント・インテリジェンスは、日本語に直訳すれば「環境知能」で、われわれの周囲に存在しているさまざまな装置や設備をインテリジェント化し、それらを相互に接続し、人間が求めているものを自律的に提供できるようにしようという方向のことですね。


 一般的にアンビエント・インテリジェンスというとハードウェアとソフトウェアが一体になったサービスのことを指しますが、私はこの概念はさらに拡張されつつあって、コンテンツもアンビエント化されて...

このコンテンツの続きは有料です

購入済みの場合はログイン
ページの先頭へ戻る