(346)長谷部を戦火にさらすな。ハリルジャパンが抱える最大の不安要素

(346)長谷部を戦火にさらすな。ハリルジャパンが抱える最大の不安要素

2017年09月06日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(346)長谷部を戦火にさらすな。ハリルジャパンが抱える最大の不安要素

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 W杯出場を決めたオーストラリア戦直後に書いた原稿で、日本代表のサッカーは、侍というより忍者だったと書いた。オーストラリアの大型選手は、浅野拓磨、長友佑都、井手口陽介、乾貴士など、小さくて俊敏な選手の動きに翻弄された、と。それだけに、ドタドタした非忍者的なアクションは目立った。

 故障上がりという事情を差し引いても、キャプテン長谷部誠のプレーには問題が多かった。瞬間、絶句したくなる不安定なプレーを何度か繰り返した。4−3−3のアンカーは、基本的に90分間、ノーミスで通さなければいけない。ミスを犯せば即、決定的ピンチに繋がるのが世界のレベル。

 しかし、ハリルホジッチは、W杯本大会を34歳で迎えるベテランを、怪我から復帰するや、躊躇うことなく、まさにお待ちしてましたとばかり、スタメンに起用した。欠かせない中心選手として位置づけている様子だ。ハリルジャパンが抱える不安要素の中で、最も気になるポイントだ。

 長谷部が代表に定着した頃、代表監督を務めていた岡田武史氏は、他の選手ではなく長谷部をスタメンで起用する理由についてこう述べた。

「中盤の密集の中でボールを捌く能力が高い選手だから」

 2008年頃の話だと思うが、それから10年、周囲の選手のレベルが上がったのか、長谷部が衰えたのか、現在はそう見えない。密集地帯での捌きにこそ、不安を感じる。

 こちらが長谷部に目を惹かれたのは、浦和レッズ時代。それまでスタメンを張っていた山瀬功治が怪我をしたために、出場機会が巡ってきたと記憶する。ポジションは2トップ下。推進力に光るものを感じた。当時、ミランに在籍していたカカーを想起するような、中盤で縦に長くボールを運ぶ力に優れていた。

 長谷部の本来の強みは、密集地帯でボールを捌く技巧より、縦方向へのダイナミックなアクションだ。柔軟な選手と言うより直線的な選手。何年か前、所属クラブで、右サイドバックを任される姿を見て、改めてその想いを強くした。

 現在、所属のフランクフルトで任されているポジションは、3バックの真ん中。最後尾からビルドアップするリベロ的なセンターバックとしてプレーしている。守備的MFが四方からプレッシャーを浴びるのに対し、センターバックはほぼ前方からに限られる。長谷部の適性に合ったポジションである。日本代表で最も輝いて見えたのも、このポジションでプレーしたときだった。

 アギーレ監督時代だ。4バックのセンターバック2人は、マイボールになると大きく開いて構えた。それに呼応して、両サイドバックが押し上げられるように高い位置を取った。2バック状態になった最終ラインの真ん中に、ポジションを下げて構えたのがアンカ...

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