(347)横浜F・マリノスのサッカーが魅力的に映る理由

(347)横浜F・マリノスのサッカーが魅力的に映る理由

2017年09月14日発行

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メールマガジン「杉山茂樹のたかがサッカー、されどサッカー。」
(347)横浜F・マリノスのサッカーが魅力的に映る理由

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 先週の土曜日、川崎フロンターレに敗れ、2位から5位に後退した横浜Fマリノス。しかし、展開の大きなサッカーが好みのこちらには、川崎が10段階で7ならば、横浜8という感じで、後者によりよい印象を抱いている。布陣はともに4−2−3−1。しかしながら、ピッチの使い方には大きな差がある。

 具体的には4−2−3−1の3の選手の位置取りだ。どちらかが綴じ気味に構える川崎に対し、横浜は両者が絶えず開いて構える。まさにウイング然と。ピッチの四隅を大きく保つ態勢が取れている。

 斎藤学とクエンテン・マルティノス。両者の存在に見て取れる横浜のアイデンティティ、言い換えれば、モンバエルツ監督のサッカーに、シンパシーを感じる理由だ。

 マルティノスのウイングプレーは中でも異彩を放っている。身長183センチ、70キロ。その細身のヒョロっとした体型から繰り出される、ウイングらしいボール捌き、及びドリブル&センタリングは、僕の中では、Jリーグでいま最も見たいプレーヤーとして位置づけられている。

 スピードはあるが、スピード系ではない。相手の逆、逆を突きながら前進するテクニシャン。身体の面をヒラヒラさせながら懐深くボールを操作する高度かつトリッキーな技巧に、なにより魅せられてしまうのだ。

 逆サイドのウイングを担当する斎藤学とはタイプが違う。小柄な身体(169センチ)をすばしっこく動かしながら前進する斎藤学。それはそれで魅力的に映るが、マルティノスに比べると単調さは否めない。対峙する相手に正面から向き合う姿が、嘘のつけない正直者に見えるのだ。斜に構え、逆を取り、タイミングを外しながら縦に出る緩急に乏しいのだ。

 ハリルホジッチが斎藤学より高く評価する原口元気、乾貴士もしかり。いずれもドリブラーではあるが、典型的なウインガーではない。マルティノス的な魅力はない。日本人の典型的なウインガーは、過去に遡っても、名前が簡単に出てこない。

 一番近いのは三浦カズだ。正確に言えば、日本に帰国する前のブラジル時代のカズだ。コリチーバ時代、ブラジル全国選手権後の記者投票で、左ウイング部門で3位に輝いた実績を持つ。乾貴士、原口元気、斎藤学タイプではない。身体をヒラヒラさせながら、相手の逆、逆を進む、どちらかと言えばマルティノに近いスタイプだった。

 ところが日本に帰国し、入団した読売クラブは、左ウイングを置かないサッカーで、鳴り物入りで入団したにもかかわらず、カズの最初のシーズンの評価は、得点能力の低いFWだった。

 カズはそこで一念発起。ウイングプレーヤーからストライカーへの転身を図った。Jリーグの開幕シーズン(1993年)には、日本人の中ではトップスコアラーに輝いた。そして翌94年、セリエAのジェノア移籍。強固なディフェンダーの当たりに負けまいと、身体を鍛え、本格的なFW色を強めようとした。だが、それとともに、ウイング時代の軽やかな身のこなしは失われた。

 1998年のフランスW杯直前に、時の代表監督、岡田武史さんから代...

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