Vol.201 騒然とする衆院解散総選挙の意味を考えつつ、東京ゲームショウ2017を総括し総務省が掲げるIoTセキュリティの行方などを見つめる回

Vol.201 騒然とする衆院解散総選挙の意味を考えつつ、東京ゲームショウ2017を総括し総務省が掲げるIoTセキュリティの行方などを見つめる回

2017年09月29日発行

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┃人間迷路┃Vol.201
--騒然とする衆院解散総選挙の意味を考えつつ、東京ゲームショウ2017を総括し
総務省が掲げるIoTセキュリティの行方などを見つめる回
                           やまもといちろう
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                         2017年9月29日発行
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【0.序文】「民進党」事実上解党と日本の政治が変わっていくべきこと
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 北朝鮮のミサイル問題で支持率が回復した安倍政権が、状況の有利と言うより
は野党の退勢と足並みの乱れを突く形で解散総選挙に打って出ました。お陰でい
ろいろ余波が出て大変なことになっているわけですが、票読み的な実務上の論考
を加える上で、今回の解散総選挙の意味について本稿では取り上げてみたいと思
います。

 というのも、野党勢力は当然のことながら無理を承知で「政権は解散しろ」と
攻めていくわけです。今回は森友学園・加計学園という、いわゆるモリカケ問題
で政権を倒そうと頑張ったわけですが、北朝鮮のミサイル発射と核実験という
「本物の危機」に直面して追及が困難になり、国民は一斉に北朝鮮有事にあたっ
てどの政権が一番望ましいかを考えた結果、やっぱり安保法制であれだけ安全保
障の議論をリードした安倍晋三さんが良い、となったわけであります。

 ここで問題となるのは、日本人にとって安全保障はそれほど大事なイシューな
んだっけ、という点です。実のところ、安全保障関連の争点というのは長らく日
本の選挙においては不人気で、北朝鮮の拉致問題が明るみに出た90年代以降でみ
ても、景気・雇用などの経済問題と近年猛烈に進む高齢化対策で急浮上する年
金・医療・介護の問題がトップに来て、その下に子育て・出産、教育、環境交通
などの暮らしに関わるものと、そしてその下に安全保障です。昔は「平和ボケ日
本」と揶揄されましたが、いまはむしろ安全保障については気にする人と気にし
ない人とに大きく別れるという属性上の問題であるという理解になりつつありま
す。平たく言うと「難しすぎて分からない」か「生活が大変なのでそういう遠い
世界のことを心配して投票する余裕はない」かが有権者過半の本音ではないかと
思うのです。

 また、政治意識の高い人たちや、50代以上高齢者女性に「安倍政権を支持しな
い」という傾向が強くなっています。もちろん、長期政権になって政治に対する
飽きも出てきているのかもしれませんが、それ以上に「人柄が信頼できない」が
トップに出て、安倍晋三さんは原則として女性に人気のない宰相になってしまっ
た、ということが分かります。定期的なグループインタビューをしてみると、い
わゆる不倫不貞といったスキャンダルよりも、安倍さんの本質に問題があること
がわかります。具体的には、ファーストレディーである安倍昭恵女史に対する不
満であったり、品のない国会での野次であったり、ポイントポイントで女性の嫌
悪感を引き出してしまうような事案が積み重なって、女性の感情に悪い影響を与
えているものと考えられます。

 さらに、自民党支持者の中にも、また公明党にも、自民党や公明党は支持して
いるけど安倍さんは不支持という層がいることが分かります。もちろん民進党や
維新支持でも安倍政権支持という人もいるのですが、安倍政権に対する支持は政
治的意識の高い低いにかかわらず男性、安倍政権に対する不支持は主に政治的関
心の高い方か、高齢者女性に広がっているということがわかります。

 この問題で何が分かるかというと、基本的には政治的関心があって投票行動が
強い有権者に不支持が増えているということであって、それは単純にいまの月齢
の政治意識調査で50%の支持が仮にあったとしても投票箱には四割かそれを下回
る得票しか政権が得られない可能性があるということになります。とりわけ、若
い世代の安倍人気は高いのですが、彼らは残念ながら積極的には投票に行きませ
ん。しかし、調査上は人口比のバイアス処理も行った上で意識調査の対象になる
わけですから、必然的に実際の投票傾向よりも支持率が高く出ることになるのが
安倍政権のマジックといえます。これを信じて「おっ、北朝鮮のミサイル発射の
お陰で安倍政権の支持率が盛り返したな。よし、野党の体制が整わないうちに解
散総選挙だ」と判断してしまうと、大変な計算違いをしてしまうのではないかと
深く憂慮するところなのですが、まあ解散総選挙に突入してしまったのでどうし
ようもないですね。

 で、野党の動きとしては現在巷でも出ているとおり、民進党新代表の前原誠司
さんが中心となって、民進党が自ら身を投げる形で小池百合子女史率いる希望の
党への合流を決めました。しかし、希望の党の側は小池女史は「すべてを迎え入
れる」とは一言も言っておらず、一口に合流と言っても実際には保証は何もない
状況になっているわけです。

 ただし、担保として今回の合流の立役者である連合は民進党の各議員が希望す
るならば、可能な限り希望の党は公認を出し受け入れるという裏の条件で調整を
終えていると伝え聞くところはあります。もちろん、参議院議員で民進党は明ら
かに小池百合子女史と一緒にやれない人が出てくるのですが、参議院議員もいま
合流してしまうと政党交付金が出ないので党はまだ残し、政党交付金が出てから
の分党、または解党をしていくことになるだろうと予見されます。

 一連の動きで、あまりにも小池百合子女史がヤバいので大変だという論調が非
常に強くなってきました。あくまで即興のネット調査ですので参考値になります
が、実のところ民進党解党の前と後でそれなりのサンプル数で希望の党への期待
感を調べてみても、上昇するどころかやや下落しているあたりに気になる部分は
あります。また、地味に東京都知事としての小池百合子女史の支持率は概ね63%
から70%の間で微減、これも他の都道府県知事の並びでみると他の知事は概ね
80%台の支持率なのが一般的なのを考えると、実は言われているほど小池百合子
女子は支持率という点では高くないというのが実態であることが分かります。

 前原誠司さんの決断については、いろいろと評価があります。これから結論が
出て、歴史が判断する部分は大きいと思いますが、私個人としては、前原さんは
出来る限りのことはしっかりとやった、優れた判断をしたと考えています。とい
うのも、このまま共産党などと野党共闘の枠組みの中で小さい議論を積み重ねて
自民党を打倒するために反自民票の受け皿という立場に甘んじるよりは、野党全
体を大同合併させつつ大きなうねりとして政界を動かし、自民党主導の解散総選
挙からイニシアチブを奪い取り、話題の中心に民進党、その先に希望の党を置
く、というのは方法論として正しかろうと思うのです。

 もちろん、そこには小池百合子女史特有のヤバさはあります。政治勘が強く勝
負師であることは間違いない一方、その経歴が示すとおり状況に対する堪え性が
なく、本人の実務能力もないうえ、仕切らせる相手をコントロールしたり能力を
推し量る力もないというのが小池女史の特徴です。すべての能力を政治闘争に振
り分けたかのような人物ですから、政局には強くても政策はからっきしダメで、
混乱させる要因にしかなりません。

 また、前原さんも言うだけ番長という評価がつきまとう中で、必ずしも実務に
長けた人物とは判断されずにここまで来ました。それでも、一時は民進党(旧民
主党)の中では終わった人扱いされたところから代表戦を勝ち上がっていったと
いう点で、ある意味で元首相で枯れた存在と見られた失意を経た安倍晋三さんに
も通じるものはあります。

 このある意味似た特質の二人がうまくいく保証はいまのところそれほどないに
せよ、ひとつのムーブメントを作っていく中で「次に繋がる野党第一党」になれ
る可能性はあると見られます。巷で話されているとおり、小池百合子女史は日本
初の女性首相を目指すという野心に取り憑かれているところはあるでしょうが、
今回の選挙ですべてを手に入れることはむつかしいかもしれず、まずは民進党の
抱えている資金、そして連合による組織選挙の能力、これに小池百合子女史のム
ーブメントを作る力が一緒になってまず一度選挙を戦ってみる、そして二回目の
選挙までに盤石の体制と流れを作り上げる、というのが勝ち筋なのではないかと
感じます。

 良くも悪くもこれ以上無いというタイミングと幸運に恵まれた状況で出来上が
った希望の党は、果たして党名通りに日本人に希望を与える存在になってくれる
のでしょうか。

 私見としては、このぐらいのダイナミズムがどんどん打ち出せる日本政治であ
ってほしいという部分は半分あります。もう半分は、小池百合子女史はヤベえだ
ろという警戒感でいっぱいなのですが、それは認知不調和を起こしている左翼系
知識人が嫌というほど指摘されていますし、私もその不安はとてもとても良く分
かります。こんなことが許されていいのか、というのが本音だと思いますし、実
際にそうなってしまったことに対する呆然もあるでしょう。最たるものは、最後
の最後で袖にされた共産党系勢力の茫然自失とした対応の混乱にも見受けられま
すが、もし私がそこにいてどうにかしろと言われたら胸ポケットに辞表を入れて
いると思います、本当に。

 蛇足ですが、最後に言われている「リベラル勢力の壊滅」というテーマはあり
ます。ただこれは、今回の前原民進党の「英断」でどうこういうものではなく、
そもそも枝野幸男さんが民進党代表戦に立ち、党内左派勢力の糾合を行っても議
員票も民進党サポーター票も及ばなかったわけです。議員票51は、そもそも民進
党左派と言えども擁する議員はその数字でしかなかった、と言えます。

 一応、希望の党が出した踏み絵「安保法制に賛成する」というネタにおいて、
民進党左派議員の動きは注目されていたのですが、結論から言えば「民進党本部
の意向に従う」というロジックでみんな希望の党に合流する可能性が高くなって
きました。まあ、選挙戦えないですからね。そんな野合でいいのかという気もし
ますが、実際にその方向で話が進んでいるため、結果的に安保法制反対で論陣を
張ってきた左派議員やその支援者は見事に変節を余儀なくされてしまうことにな
ります。

 それが嫌ならば離党して共産党との野党共闘に打って出るしかないのですが、
これは旧社会党、いまの社民党と一緒で、連合の支援なく選挙を戦うことができ
ない議員がどうなるかは自明です。それを知っているので、希望の党の軍門に降
らざるをえない、ましてやまったく選挙対策のできていない今回の選挙は、とい
うことになります。枝野新党の構想もあったように聞いていますが、あっという
間に立ち消えになったのはそういう理由ではないかと思う次第です。

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目次
【0. 序文】「民進党」事実上解党と日本の政治が変わっていくべきこと
【1. インシデント1】東京ゲームショウ2017の個人的な総括
【2. インシデント2】総務省がいよいよIoTセキュリティに本腰を入れるそうで
すね
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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