ディープラーニングの基本となる「パーセプトロン」を正確に理解する 佐々木俊尚の未来地図レポート vol.474

ディープラーニングの基本となる「パーセプトロン」を正確に理解する 佐々木俊尚の未来地図レポート vol.474

2017年11月13日発行

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佐々木俊尚の未来地図レポート     2017.11.13 Vol.474
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【今週のコンテンツ】

特集
ディープラーニングの基本となる「パーセプトロン」を正確に理解する

〜〜ビッグデータの偏見について改めて考える(後編)

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■特集

ディープラーニングの基本となる「パーセプトロン」を正確に理解する

〜〜ビッグデータの偏見について改めて考える(後編)
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 さて、なぜディープラーニングの思考を人間が(開発者でさえも)理解するのが困難なのか。これをわかりやすく説明するのは難しいのですが、これからできるだけ平易に読み解いてみましょう。



 ディープラーニングのもとになった計算に、「パーセプトロン」というのがあります。これは1958年にコンピュータ科学者のフランク・ローゼンブラットが発表したものです。だいぶ古いですね。

 ディープラーニングは生物の神経回路からヒントを得ているのは有名な話ですが、神経細胞(ニューロン)は樹状突起(シナプス)で他の細胞から電気信号を受け取り、入力が一定以上の値になると自分も発火して信号を出す仕組みになっています。この「一定以上の入力で信号を出す」というのをモデル化したのが、パーセプトロンです。



 ここで、例題です。あなたが明日、八ヶ岳に夏山ハイキングに出かけることを計画しているとします。ただし雨天の場合や、一緒に行く山仲間が何かの都合で行かなくなってしまった場合、また友人から借りる予定の自動車が何かの事情で借りれなくなった場合など、いろんな中止要因が考えられます。



 そこでそれぞれの要因に、数字で「重み」をつけてみることにします。



 天気は重要なので、重みは5。



 山仲間が行かなくても、単独でもハイキングはできますから、重みは2。



 自動車が借りれなくても、特急あずさで行けばいいので、重みは2。



 また、「この数字をクリアすればハイキングを決行する」という閾値を、3とします。



 それぞれの要因を組み合わせてみましょう。



 天気は良いけれど、山仲間は不参加で自動車も借りれなかった場合。重みは、5+0+0=5。閾値の3を超えているので、決行です。天気が良ければ、それだけで重みは5になるので、他の要因がOKだろうがNGだろうが、必ず山に行くという結論になりますね。



 天気は悪いけれど、山仲間も行くし、自動車も大丈夫という場合。重みは、0+2+2=4。これも閾値の3を超えているので、決行。



 天気は悪いし、山仲間も行かない。自動車だけ借りれた。重みは、0+0+2=2。これは閾値以下なので、中止です。



 天気は悪いけれど、山仲間は行くと言っている。ただ自動車は借りれなかった。重みは、0+2+0=2。これも閾値以下なので、中止。



 このように重みと閾値を変えることで、異なった判断決定をすることができる。このモデルがパーセプトロンなのです。



 八ヶ岳ハイキングのパーセプトロンは、たった一層で構成されています。要因は天気と山仲間と自動車だけ。でもどのような山に登山に出かけるのかという行為には、もっと複雑な要素がからんでいます。自分自身やメンバーの登山経験はどの程度なのか。厳冬期の山なのか、積雪の春山なのか、夏山なのか。テントなのか小屋泊まりなのか、日帰りなのか。そういう要素をさまざまに考慮しようとすると、一層だけのパーセプトロンだけでは足りません。たとえば「登山経験の層」「天気や交通手段の層」と層を二つ重ねて検討する必要があるでしょう。最初の層で仲間たちの登山経験の「重み」から判断決定の数値を吐き出し、その数値を次の「天気や交通手段」の層に伝えて、再び重み付けすると、最終的に判断の数値がはじき出される。そういうイメージです。



 ところがこのように多層化すると、非常に困難な問題が生じてきます。それは何かと言うと、「適切な重みの数字をどう決めればいいのかよくわからない」ということです。適当な数字を当てはめてしまうと、結果はトンチンカンになってしまう。一層のパーセプトロンであれば、数字を適当に決めても人間が皮膚感覚的に理解できるのでそう間違いにはならないのですが、二層以上にしたとたんに皮膚...

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