▲▽装備品問題の根源▽▲

▲▽装備品問題の根源▽▲

2017年11月26日発行

日刊 大石英司の代替空港

▲▽装備品問題の根源▽▲

 今日はお休みなので、ちとデイリーなニュースからは離れたお話をしましょう。
 最近、軍クラ界隈で話題になったらしい、自衛隊の国産装備品には、なぜ時代
錯誤なものが調達され、ネトウヨさんはどうしてそれが最新鋭だと錯誤を起こし
てしまうのか? です。
 私はツイッターをやっていないので、具体的にどんなやりとりだったのか、詳
しくは存じませんが(^_^;)。

 大ざっぱに言えば、軍事に通じているネトウヨさん(そこには当然自衛隊のO
Bの皆様もいらっしゃる)が、自衛隊の国産装備品を最高だと褒め称えるのは、
言うまでも無く国産信仰があるからです。それは実は武器輸出を批判する側の左
翼の皆さんも同様で、武器輸出が解禁されたら、立ち所に日本製の武器が世界市
場を席巻する! と主張するのは、国産製品への厚い信頼と自負があるからです。
しかしもちろん、官品である自衛隊の武器装備には通用しません。それはなぜな
のか?

*競争下にある民間市場

 その理由を、民間を例に考えます。ここにS社という、高層ビルから道路、橋、
トンネル、プラントまで手がける巨大な土木建設会社があったとします。彼らは
国内のみならず、北米から砂漠まで、手広く事業を展開している。
 そしてこのS社に、自社製品を売り込もうとセールスを掛ける建機メーカーの
A社B社C社があります。私の同窓生が、そんな大手に一人勤めていて、同窓会
ではいつも面白い裏話を聞かせてくれます。
 このABC社には熾烈な競争があります。彼らが抱えてる市場もまたワールド
ワイドです。常に世界のトップに君臨し続けるために、最高の頭脳と設備投資で、
最新鋭の土木建設資材の開発と売り込みに余念が無い。彼らの競争相手は、国内
では無く海外です。日本企業はそうやって鍛えられ、国民の国産信仰を勝ち得て
きた。
 またそれを採用するS社も、熾烈な競争の中で、コストダウンをはかるために、
自社で使うことになる機材の情報収集には熱心になる。
 こうして民間の企業では、市場原理と競争原理が正しく作用するわけです。そ
の競争原理の中で暮らしている国民は、当然、自衛隊も同じ理屈で動いているも
のと錯覚しがちです。

*競争原理と無縁な自衛隊

 自衛隊に競争原理は全くありません。一部の正面装備に関してのみ、これはも
うどう足掻いても国産は無理だから諦めようという戦闘機他があるけれど、それ
とて買いたい商品は限られるから、本当に競争原理があるかどうかは疑わしい。
 これが、通信であるとか電装関係、衛生となると、国民の関心も薄いし、情報
も限られるから、どんどんブラックボックスと化していく。
 ここで、メーカーはどう行動しているのか? 彼らは、別に一番新しい、最強
の商品を自衛隊に売りたいと思っているわけではありません。そこに競争が無け
れば、人間が考えることは、官でも民でも同じです。コストを掛けて製品化した
商品、なるべく長いこと売り続けたいと思うのは誰でも同じです。世界の流行廃
りは一切関係無い。
 たとえば、調達の現場で「海外にはこんな異次元の性能の新製品があるらしい
けれど?」という官側からの指摘があった時に、「自分たちはそんな代物は全く
知りません。最高の製品を納めてきた我が社がその存在を知らないということは、
この世に存在しない技術です!」とどや顔で言ってしまうわけです。ちなみにこ
れは、ある艦艇装備に関する実話らしい。
 彼らは本当に外の世界を知らないのか? その可能性はあります。もちろん中
には、こんなんじゃ駄目だ。もっと世界にアンテナを広げなければ! と日々情
報収集に励んでいる社員がいるかも知れないけれど、そういう人が出世しないの
が我が国です。
 対する自衛隊にした所で、幹部は1年2年で異動していく。彼らにとって一番
大事なことは、波風立てずにそのポストを次の幹部に引き継ぐことです。メー
カーや代理店が、これが最高の製品です! と胸を張れば、そういうことにして
おくのが保身の第一歩でしょう。
 そして、閉じた官品の世界では、コストダウンの意識も作用しない。民間では、
それで削った予算で他の買い物をしたいと思うだろうけれど、自衛隊でコストダ
ウンするということは、その部局が扱ってきた予算規模が縮小するということで
す。これはそれをやらかした奴は当然恨まれる。前年と同規模の予算を大過無く
使えてこその宮仕えです。

 われわれが最も高性能のパソコンが欲しければ、ネットでググれます。すぐ情
報が出て来る。所が、軍用品は違います。ネット上にある情報が全てではありま
せん。これが一つ誤解の原因になります。ググって出てこないものは存在しない
と錯覚する。
 し...

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