「私のお店で買い物してくれる顧客の75%は、先にウェブを訪れる」佐々木俊尚の未来地図レポート vol.477

「私のお店で買い物してくれる顧客の75%は、先にウェブを訪れる」佐々木俊尚の未来地図レポート vol.477

2017年12月04日発行

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佐々木俊尚の未来地図レポート     2017.12.4 Vol.477
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http://www.pressa.jp/


【今週のコンテンツ】

特集
「私のお店で買い物してくれる顧客の75%は、先にウェブを訪れる」

〜〜ネットショッピングと大型モールの関係はどう変わる?(前編)

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■特集

「私のお店で買い物してくれる顧客の75%は、先にウェブを訪れる」

〜〜ネットショッピングと大型モールの関係はどう変わる?(前編)
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 アマゾンがアメリカの有名高級スーパー、ホールフーズを買収。一方で従来型のショッピングモール衰退が言われるようになって来て、再び小売業界は変化の時期を迎えているようです。


◆The 4 Reasons Why 2017 Is a Tipping Point for Retail

http://theatln.tc/2zHv56k


 この「2017年が小売業界の転換点になる4つの理由」という記事では、Warby Parker(ワービーパーカー)という眼鏡のECを取り上げています。日本では展開していないのであまり知られていませんが、たとえば2015年の「世界で最もイノベーティブな企業50社」というランキングでは1位に輝いています。2010年設立という新興のECであるのにもかかわらず、非常に高いブランド価値を実現していることが評価されたとか。こんな話も紹介されてて驚きます。「女性顧客が車を盗まれて落ち込んでいる時に、彼女がよく通っているバーの20ドル分のギフト券をプレゼントしたという逸話が有名」



◆世界で最もイノベーティブな企業と評されたWarbyParkerのブランディング戦略
http://bit.ly/2AD1yui


 ワービーパーカーの戦略の中核を担ったのは、ウェブサイトで販売するECだけでなく、実店舗を出店したことです。最初のお店を出したのは2013年のことですが、それからわずか1年のうちに8店舗にまで増やしました。これらの店舗での売り上げは非常に大きく、しかも記事によると1平方フィートあたりの利益が平均3000ドルにも達し、この金額はティファニーやラルフローレン、さらにはアップルストアをも上回っているのだそうです。いまやワービーパーカーの実店舗は、実に66店にも上っています。



 この結果、ECの売り上げを実店舗での売り上げが上回るようになり、今では同社の売り上げの過半を実店舗が占めるように。そしてここが非常に興味深いのですが、同社の創業者であるDave Gilboa(デイブ・ギルボア)はメディアにこう語っています。



 「われわれのお店で買い物してくれる顧客の75%は、最初に公式サイトを訪れてくれている」

 つまり実店舗単体で儲かっているわけではなく、動線としてまず最初にウェブがあり、そしてウェブから導かれて実店舗にやって来て、そこで買い物をするという流れ。面白いですね。ECと小売の対立という文脈でしばらく前から、「ショールーミング」という言葉が言われていました。実店舗にやって来て品物を確認し、でもそこでは購入せずに、別のECで買うという消費者の行為を指しているのですが、ワービーパーカーではECが先にあって、実店舗が回収側に回るという180度逆の構図になっているようです。



 いま米国では(日本でもその流れは起きようとしてますが)、ECが実店舗を出すという方向に加速しつつあります。冒頭にも書いたようにアマゾンは140億ドルを投じてホールフーズを買収し、500もの実店舗を手に入れました。さらにAmazon Freshという生鮮食料品を販売する店舗を2000に増やす計画も立てているとされています。記事では、ファッション・アクセサリ販売のRentTheRunwayやBonobosなどのECも実店舗に投資する計画をスタートさせているといいます。



 一方で、日本でも展開している小売大手のトイザらスが52億ドルの負債を抱えて倒産するなど、小売ビジネスの衰退は目立っています。この矛盾がいったい何を意味するのかというと、つまりは実店舗とECをどう関係づけるのかという戦略の不在ということなのでしょう。実店舗だけではもはや成立しにくくなっており、かといってEC単体も成長...

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